妊婦さんや産後の方の不調で、意外と多いのが”陰部(いんぶ)のかゆみ”です。
尿道(にょうどう‐おしっこの出口‐)や、膣(ちつ‐子宮に通じる部分‐)、肛門(こうもん‐うんちの出口‐)の周りがかゆくなります。
今も悩んでいる方、いらっしゃるのではないでしょうか?
病院や産院で相談すれば、比較的簡単に対処できるものですが、できれば予防したい不調です。
今日は、妊婦さんの”陰部のかゆみ”への予防と対処法、アロマテラピーでは何ができるかを書いていきます。
なぜ、陰部がかゆくなりやすいの?
妊娠中に感じることの多い陰部のかゆみは、なぜ起きるのでしょう?
妊娠することで、原因になることがいくつか挙げられます。
- 汗をかきやすい
妊娠中は、体温が高めになります。
赤ちゃんを育てるためや、おっぱいを作る準備のためです。
また、体重が増えることで、動くこと自体が普段より体力を使い、体温を上げます。
すると、体はその暑さを調節するために、汗をかくことで、快適な体温に調整します。
妊娠していない時より、汗をかきやすいのは、体温が上がりやすいからです。 - お肌が敏感になる
体は、”ホルモン”という物質で、その働きや調子を整えています。
妊娠中は、そのホルモンのバランスが、大きく変わり、崩れやすくなっています。
そのため、普通ではトラブルにならないことも、敏感に反応してしまうことがあります。 - おりものが増える
おりものとは、膣(ちつ)から出てくる、粘液(ねんえき)です。
膣内が健康でいられるように、ばい菌から守っているものでもあります。
膣は、赤ちゃんを育んでいる子宮に通じています。
妊娠中は、より多くのおりものを出して、赤ちゃんを守っているのですね。 - ばい菌に対する力(免疫力‐めんえきりょく‐)が弱くなる
妊娠中は、ばい菌に対する力(免疫力)が、少し弱くなります。
免疫とは、自分以外のものを攻撃するという働きです。
お母さんの体の中には、”赤ちゃん”という、お母さんとは違う異物がありますね。
免疫にとっては、自分以外の攻撃対象。
お母さんの体は、その攻撃の力を弱めることで、赤ちゃんがすくすく育つように、守っているのです。 - かゆみを感じやすくなる
妊娠中の体は、赤ちゃんを育てるために、たくさんの血液を作り出します。
その血液をきれいにしてくれるのが、”肝臓”です。
しかし、普段よりたくさんの血液があると、肝臓はその仕事量が増えすぎて、働きが弱くなってしまうことがあります。
すると、血液は十分にきれいにならず、体をめぐってしまうのですね。
きれいになっていない血液の中に、お肌にかゆみを起こす物質が残っていて、痒みを感じやすくなってしまうこともあるのです。
以上のような原因から、陰部のかゆみを起こしやすくなっています。
一般的な予防・対処方法は?
では、妊娠中の陰部のかゆみには、どんな予防・対処法があるでしょうか?
なりやすいからとあきらめず、快適な妊娠生活のためにも、まずは予防していきたいですね。
もし、なってしまったら、どんなことができるかも挙げていきます。
かゆみを防ぐー予防方法ー
- 清潔にする
汗とおりものが増えることで、下着は汚れやすいですね。
通気性や、吸湿性を考え、綿100%の下着をおすすめします。
また、汚れたら着替えてしまうのも、清潔にするのに効果的です。
”おりものシート”を使われる方もいますが、かえって、皮膚への刺激になっってしまうこともあるので、
注意して使っていきたいですね。
おりものシートを使うならば、トイレに行くたびにちゃんと替えることは、必ず行ってください。*過剰に清潔にすることはないです。一日に何回もシャワーを浴びたり、陰部をごしごしと洗ったりすることは、かえってかゆみを増やすこともあります。 - よく休む・眠る
妊娠中の体は、とてもアンバランスになりやすいです。
赤ちゃんを育むという大仕事をしているので、疲れやすくもあり、またゆっくりな動きが適しています。
今は、仕事を持ちながら妊娠期を過ごす方もたくさんいますが、
できるだけ、よく休むこと、よく眠ることを心がけましょう。
体の働きは、しっかりと休むことで、十分に発揮することができます。
かゆみなどの不調が起こっても、自分の力で整えることもできますよ。
かゆくなってしまったらー対処方法ー
予防をしても、もしかゆみがひどく治りそうもなかったら?
自分でできることは、予防方法に挙げたことです。
ここは、かかりつけの産院などの医療機関に相談しましょう。
なぜなら、単純にかぶれなどだけではなく、
- カンジダ膣炎
- トリコモナス膣炎
などの病気になっているかもしれないからです。
自己判断は厳禁です。
自分の健康だけではなく、おなかの赤ちゃんの健やかさのためにも、受診してくださいね。
受診したときの対処方法を挙げていきます。
- 膣内の洗浄
内診台に上がり、膣内を消毒薬などで洗い流します。 - かゆい部分にお薬を塗る
かゆみが、膣内だけではなく、外側にも広がっている場合、その部分に塗り薬が処方されます。
内診台に上がったとき医療機関で塗ってくれたり、処方薬として出され、自宅で塗ることを指導されます。 - 膣内にお薬を入れる
内診台に上がって、洗浄をした後に、膣内に錠剤を入れます。
おりものなどの水分で、少しづつ溶けてお薬の成分を膣内に広げるものです。
医療機関によっては、処方薬として自宅で入れることを指導されます。 - 検査をする
かゆみや赤みが、なぜ起こっているか、原因になるばい菌がないか、検査をすることもあります。
内診台に上がり、膣内を綿棒などでこすって、おりものにどんなばい菌がいるか調べるものです。
以上の対処方法を行い、かゆみがどうなったか経過をみていきます。
検査をした場合、後日検査結果が伝えられ、見合った治療がされるでしょう。
かゆみなどの不調が続く場合は、洗浄やお薬を入れることを、また行うこともあります。
アロマテラピーは何ができる?
精油を使ったアロマテラピーは、陰部のかゆみに対して、何ができるでしょうか?
私の考えるアロマテラピーできることは、
かゆみを起こさない体に整える手助け
ということです。
精油のもとの”芳香分子(ほうこうぶんし)”は、体にいろいろな方面から働きかけてくれます。
かゆみに対してだけ働きかけてくれるのではなく、体全部を整える働きをしてくれると考えます。
使える精油
では、陰部のかゆみという不調に対して使える精油は何があるでしょうか?
ここでは、産院でもみられやすい、ばい菌によっておこるかゆみへの精油を挙げていきます。
- ティートゥリー
- ゼラニウム・エジプト
- オレガノ
- ローレル
- タイム・ツヤノール
これらは、抗菌・抗真菌などの働きや、炎症を抑えてくれる働きを持ちます。
予防と不調の軽減に使えるものです。
さらに、予防方法でも上げましたが、よく休む・眠ることも大切です。
- オレンジ・スイート
- マジョラム
- マンダリン
- カモマイル・ローマン
これらは、休むことを支えてくれる精油です。
上記の精油とブレンドして使うと、精油の力は協力し合って、
体を整える手助けをしてくれます。
おすすめアロマクラフト
陰部のかゆみの予防に、おすすめのクラフトは何でしょう?
アロマ助産師あっこのおすすめは・・・
バスオイル(入浴剤)です。
お風呂は、体を清潔にするとともに、ほーっと体と気持ちをリラックスさせてくれます。
入浴剤にすることで、お肌からも、呼吸からも、精油の働きを得ることができます。
予防にも、かゆくなってからの対処としても、おすすめです。
いかがでしたでしょうか?
アロマテラピーは、予防にも対処にも使えますが、
心と体を整えるのは、あくまでも自分です。
ぜひ、その支え(サポート)として活用していってくださいね。
妊婦さんのアロマテラピーは、こちらもご参考にどうぞ。
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