妊娠中のトラブルで、ご相談の多いものの一つ。
それが、『こむら返り(足のつり)』です。
腰痛や便秘などと同じくらい、こちらの相談を受けます。
リラックスしているときに起こるこむら返りは、とっても嫌なもの。
今日は、妊婦さんのこむら返りの原因と対処法、そして、アロマテラピーでできることを書いていきたいと思います。
妊娠中のこむら返りの原因
なぜ妊娠中に、こむら返りは起こりやすいのでしょう?
妊娠前はあまり起こしたことがなかった、という方からもご相談を受けます。
それは、妊娠という状態が、こむら返りを起こしやすい状況を作るからです。
原因を挙げていきますね。
- 体のミネラルバランスの崩れ
妊娠すると、おなかの赤ちゃんを育てるためにたくさんの栄養が必要になります。
そのため、カルシウムやマグネシウム、鉄分などのミネラル分が、体に必要な分より足りなくなることがあります。
これら、ミネラル分は筋肉の動きをスムーズにする働きがあるのですが、不足してしまうことでこむら返りが起きやすくなってしまいまうのですね。 - 妊娠前とは違う姿勢や筋肉の疲労
妊娠すると、子宮は赤ちゃんの成長と重なって大きくなっていきます。
周りの内臓を押し広げたり、姿勢の重心を変えていきます。
すると、妊娠前とは違う筋肉をたくさん使うようになり、負担になってしまうことも多いです。
今まで小さな力しか使っていなかった筋肉が、急に大きな力を使わなければならなくなってしまうのです。
それは、筋肉にとってすごく疲れてしまうこと。
これまでの回復のさせ方では間に合わず、『こむら返り』という形で、疲れを現してしまうのですね。 - おなかが大きいことによる血流の悪さ
子宮が大きくなることは、筋肉や骨、内臓だけでなく、血の巡りにも影響があります。
今までスムーズに流れていた血流が、滞りやすくもなるのですね。
これはむくみにもつながるものです。*妊婦さんのむくみに対するアロマテラピー
血液は、体の栄養源を運んでいます。
疲労した筋肉には、回復するために栄養が必要ですね。
しかし血流が悪くなってしまっては、回復もできないというもの。
やはり、『こむら返り』として、現れてしまったりするのです。
以上のことが重なり、起こしやすくなっているのですね。
おうちでできる対処法(セルフケア)
痛いしいつ起こるかわからないこむら返り。
自分で対処できたら良いですね。
こむら返りを起こす前からのセルフケアも大切です。
- 水分補給
妊婦さんは体温が高く、夏に限らず汗をかきやすいものです。
この汗の中には、体の動きをスムーズにする、”ミネラル分”も含まれ、体の中に出してしまいます。
しっかりと水分補給をすることで、脱水を防ぎ、ミネラル分のバランスの崩れも防ぐのです。 - 食べるものを選ぶ
妊娠中は、やはり食事には気を付けたいもの。
”体を作る”栄養素を選んでいきましょう。
体を作る栄養には、ミネラル分も多く含みます。
例えば、
カルシウム:干しエビ、桜エビ、チーズ、煮干し、シラス、大豆製品など
マグネシウム:のり、わかめ、ごま、アーモンドなど
また、これらのミネラルを効率よく体で使うために、
ビタミンB1:豚肉、ウナギ、たらこ、大豆製品など
も選ぶと、こむら返りには特に良いかと思います。 - 体をゆるめる
妊娠中の姿勢の変化から、体は疲れやすくなっています。
いつもとは違う筋肉を使い、緊張もしているもの。
夜の入浴後やお休み前に、軽くストレッチするのもおすすめです。
血流を良くすることにもなり、寝ているときに起こるこむら返りを防ぐことも期待できます。
何か特別なストレッチをしなくても、ただ、
・手足をパタパタと振る
・体を揺らす
・伸びをする
こんなことでも大丈夫です。 - 気持ちをゆるめる
いろいろと心配になるのが妊娠中。
心配は、気持ちを固くして緊張させることにもなります。
気持ちの緊張は、体の緊張にもつながりやすいもの。
体をゆるめるのと同じくらい、気持ちのリラックスも大切にしてください。
例えば、
・好きなことに没頭する
・大きな声で歌う
・好きな公園へ散歩する
・友達とおしゃべりする
こんなことも、体を整えることにつながりますよ。
以上に挙げたことは、こむら返りだけでなく、妊娠中~産後にかけて、日常的に大切なことでもあります。
意識的に、『自分をいたわる』ようにするのも良いですね。
病院に相談してできること
病院でこむら返りを相談すると、どんなことが期待できるでしょう?
基本的に、”治療”という考え方からの対応であることが多いと思います。
- 処方(お薬が出される)
こむら返りで処方があるとしたら、
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
が一般的でしょうか。
これは漢方薬で、筋肉の緊張をとったり血流を整えてくれたりするといわれています。
妊婦さんも飲むことができるお薬になります。
おうちでのセルフケアでも、あまりよくならず、とてもつらいのであれば、
医師と相談してみても良いかと思います。 - ストレッチなど運動の指導
医師によっては、ストレッチの方法なども伝えてくれることもあります。
ただ、ストレッチに関しては、専門に学んだ者(理学療法士、柔道整復師、カイロプラクティックなど)の方が詳しく伝えてくれるかもしれません。
挙げるとしたら、以上のことでしょうか?
ただ、健診や診察をする医師によっても、考え方や対応は異なります。
「様子をみましょう」
と言われることも多いかと思います。
それは、”治療”として必要ないと判断した、とも考えられます。
がっかりしないでくださいね。
大きく命に問題になるようなことはない、ということでもありますから。
アロマテラピーでできること
では、アロマテラピーではどんなことができるでしょうか?
心身の状態を整えてくれることが得意なアロマテラピーでは、
痛みやつらさをピンポイントで整えるより、全体的に働きかけてくれます。
『こむら返りの原因』で挙げたこと、いろいろな面を含めて考えると、
”精油をブレンドする”という楽しみも出てくるのではないでしょうか?
おすすめの精油
妊婦さんでも使える精油をご紹介します。
- ラベンダースーパー
筋肉をゆるめ、こわばりをとる働きが期待されます。
また、痛みにも働きかけてくれます。
気持ちの緊張もほぐしてくれる、すっきりとした香りのラベンダーです。 - ジンジャー
日本ではおなじみの”しょうが”です。
筋肉のこわばりや痛みに働きかけます。
また、血液やリンパ液など、体の水分の滞りを整え、胃腸の消化にも働きかけてくれますよ。
つわりの時期にも使える精油です。 - イランイラン
やはりこわばりや痛みに働きかけてくれます。
また、華やかな香りで心を落ち着かせリラックスを促すことも期待できますね。 - ラヴィンツァラ
筋肉をゆるめてくれる働きとともに、気持ちの良い眠りも誘ってくれる精油です。
夜間にこむら返りを起こす方も多いので、こちらは安眠にもつながりおすすめです。 - マジョラム
心身の緊張を沈めリラックスを促してくれる精油です。
さらに痛みやこわばりにも働きかけてくれます。
不安定になりがちな妊娠中にも、使いやすいかと思います。 - バジル
イタリアンでおなじみのバジルです。
ハーブとしてももちろん、精油でも私が好きな精油の一つです。
やはり、こわばりや痛みに働きかけてくれるとともに、自律神経を整えてくれることも。
胃腸の不調にもすっきり働きかけてくれるので、しっかり栄養を摂りたい妊婦さんにはおすすめです。
皮膚刺激がありますので、濃度は薄めで使うと、より安全かと思います。
おすすめのアロマクラフト
では、以上に挙げた精油を使って、どんなクラフトを作りましょうか?
おすすめのクラフトレシピを挙げていきます。
- トリートメントオイル
香りを嗅ぐだけでも、心身を整えてくれる精油。
トリートメントオイルでは、お肌からも精油の働きを得ることができます。
また、お肌をなでるということは、自分自身に行っても癒されるようですよ。
〈レシピ例〉
*ラベンダースーパー 6滴
*ジンジャー 2滴
*マジョラム 4滴
*ファーナスオイル 30ml
全量30ml、2%濃度のトリートメントオイルです。
ポンプボトルに入れると、必要な量をプッシュで出せるので、扱いやすいと思います。 - バスオイル
一日の疲れを癒すことのできるバスタイム。
ここに精油の働きをプラスすれば、より心身を整えてくれるのではないでしょうか?
〈レシピ例〉
*ラベンダースーパー 5滴
*イランイラン 2滴
*ラヴィンツァラ 3滴
*バジル 2滴
*バスオイル 30ml
全量30ml、2%濃度のバスオイルです。一回の入浴に5~10ml使います。
小分けボトルに入れて保管できます。使うときには、必要量をお湯を張ったバスタブに入れ、良くかき混ぜましょう。
バスオイルなどの乳化剤は必ず使用してください。精油はお湯にはとけません。
直接バスタブに入れると、精油は浮いているだけなので、原液がお肌につくことになります。
安全のために、バスオイルなど使い必ず乳化させて、入浴に活用してくださいね。
いかがでしたか?
こむら返りに関しては、様子を見ることが多くても、
自分の状態を見つめるということにはつながります。
自分の状態が少しでもわかれば、ヘルプの声も上げやすくなりますよ。
妊娠中は少しでも楽に、幸せに過ごしてほしいものです。
セルフケアとして、アロマテラピーも活用していってもらえたらうれしいです。
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